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監査:中小企業会計指針等に準拠した財務諸表

税務のお客様から、「中小企業会計指針」「中小企業会計要領」で作成された財務諸表の監査は出来ますか?
というご質問を受けます。答えは「出来ます」。ところが、公認会計士法で、監査業務は税務業務と同時提供は出来ません。従って、弊所の税務のお客様への監査業務は提供できない、というのが結論です。

誤解が多いのは、決算書に「当社は中小企業の会計に関する指針に基づいて決算書を作成しております」という文言があり、これを税理士(公認会計士)が利用して申告業務を行っているのだから監査を行っているのと同じ、と考えている経営者の方が居ることです。

監査というのは、「独立の第三者が公正妥当な監査基準に基づいて行った監査業務」です。独立性の観点から、様々な制約があり、前に述べたように「税務業務との同時提供」は出来ません。従って、会社の税務業務を行っていない第三者の公認会計士が監査を行い、公認会計士協会の定めた様式の監査報告書を提出することで監査は成り立ちます。これが監査に関する一般論です。

では、中小企業会計に関して、現在、監査はどのように行われるのでしょうか?
公認会計士協会は平成26年4月「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」(監査基準委員会報告800号)を公表し、その中の一つとして、中小企業会計に関する監査の枠組みを定めました。特定の目的というのは、一般的に税務申告のためとか、金融機関への報告のためなど、利用目的が限定されているということです。

弊所のコラムでも書いていますように、中小企業会計指針などは、企業が重要性を考慮し、適用する会計基準を選択出来ます。その意味で「一般に公正妥当な会計基準」とは一線を画したものになっています。そこで、このような会計指針等に拠った財務諸表の監査を「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表」の監査と位置づけたわけです。

監査報告書では、財務諸表の利用目的と中小企業会計指針等に基づいて、重要な会計方針に記載されている会計方針に従って財務諸表が作成されている旨が記載されます。

このような監査の枠組みが示されたことの意義は何でしょうか?中小企業会計指針等が監査の対象として認められ、監査を行うためには公認会計士の監査に拠らなければならない、ということです。

実務的にこの制度がどのように普及して発展するかは今後の推移を見守りたいと思っていますが、監査という概念が、中小企業の会計の中にもはっきりと組み込まれ、厳格になった。ということは知って欲しいところです。

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