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役員退職金の支給時期と死亡保険金の受取時期

会社は役員の死亡に伴う死亡保険金の給付を受けました。死亡保険金は定期保険であることから、保険の給付は会社の利益となります。ところが、役員退職金は株主総会決議後支給されるため、定時総会が開催され役員の死亡退職金を支払うことが承認される、翌期の支給となります(役員に対する報酬等は定款に定めのある時を除き、株主総会の決議に拠らなければならない(会社法361条1項))。

このようなケースでは、保険金受取の時期と役員退職金の損金参入時期がずれることになります。同じ期に計上できないのか?というのがよくある相談事項です。

結論から言うと、役員退職金の支給は株主総会決議が必要な事象であり、同じ期に計上することは一般的には難しいです。

役員の死亡保険を会社名義で契約し、死亡時に会社が保険金を受け取る意味はどこにあるのでしょうか?

ご相談なさる方にお話を聞くと、「役員退職金の支払い原資」「会社の損益の平準化のため」という答えが返ってくることが多いです。役員が退任し多額の退職金を支給することによって、多額の損失が発生します。これを保険金の給付による利益で補填すれば、利益の平準化が図れます。また、保険金の給付による資金は退職金の原資となります。この考え方は間違っていませんが、役員の死亡保険を会社が契約する意味はもう一つあります。「役員の死亡に伴う利益の損失を補填する目的」です。役員の人脈やスキルなど死亡により消失する利益を留保するために保険金がある、という考え方です。法人税法はこの考え方から、会社が保険を契約し保険料を損金算入することを認めています。この考え方を忘れてはいけません。

これでは相談の答えになっていない。と思われるかもしれませんね。会社法と税法に基づく理屈は以上の通りです。しかし、中小企業の場合、役員退職金を同じ期に計上するというのは、よくあることです。方法としては「臨時株主総会」を開催して決議することは可能です(招集のための期間は必要です)。役員の死亡による同族からの役員就任も中小企業では喫緊に必要となるでしょう。そのための臨時株主総会と同時に、役員退職金の支給も決議すれば、保険金の利益と同じ期に計上できます。

役員退職金を支給する場合、株主総会決議と同時に留意すべきは、役員退職金の計算規程があるか?という点です。税務では過大役員報酬(退職金も役員報酬の一つです)による損金算入否認を受ける可能性があります。会社の規模、役員の貢献度などを考慮した役員報酬の計算規定を前もって作成しておく必要がありますね。

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