国際税務の基礎(その1)|さいたまで税務顧問、相続対策、確定申告なら公認会計士酒井健一事務所

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国際税務の基礎(その1)

役立つメモ

1.基本ルール

(1)課税の対象となる所得
自国が居住地国である法人(個人)に対しては、どこの国で生じた所得であるかにかかわらずすべての所得に課税される(全世界所得課税)。自国が居住地国でない法人(個人)に対しては自国で生じた所得に対してのみ課税される(「国内源泉所得への課税」)。
(日本を含むほとんどの国で「全世界源泉所得」が課税される。)

(2)二重課税の排除
二重課税の排除は「租税条約」による
(租税条約なければ二重課税は排除されない・・・原則)

2.国際税務のキーワード

(1)居住地国
日本の場合:法人を設立した国が居住地国となる:設立準拠法基準。
(管理しているところが所在する国が居住地国となる場合もある:管理支配地基準)
居住地国とは?
日本の会社の場合:法人を設立した国(個人は居所のある国)
*課税と居住地国
自国が居住地国である法人に対しては、全世界所得に対して課税される。
自国が居住地国でない法人に対しては、自国で生じた所得のみに対して課税される。

(2)所得源泉地国
どこで生じた所得か?
所得源泉地国:所得が生じた国
全世界所得課税の原則から考えると
自国が所得源泉国の所得:国内源泉所得
自国外が所得源泉地の所得:国外源泉所得

(3)(所得源泉地国の)恒久的施設(Permanent Establishment:PE)
恒久的施設:事業を行う場所。具体的には、
工場や支店、工事を行うその場所等
自社製品の販売契約を締結する権限を付与した代理人(代理人PE)。
*国外製造子会社が親会社の名前で販売契約を締結した場合、代理人PEとみなされる場合もある。
*(恒久的施設の定義)
日本の税法上の「恒久的施設」(国税庁HP)
「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(PermanentEstablishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。

  1. 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所は含みません。
  2. 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。
  3. 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に関わる業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。

日本国内に恒久的施設を有するかどうかを判定するに当たっては、形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定することになります。例えば、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、単なる製品の貯蔵庫は恒久的施設に該当しないことになります。
(所法5、161、164、所令289、290、所基通164-3、法法4、138、141、法令185、186法基通20-2-1)

(4)居住地国・所得源泉地国、恒久的施設から課税関係を整理する。
①居住地国と所得源泉地国が一致している:居住地国の税法に従う(国内課税)。
②居住地国と所得源泉地が一致していない:居住地国と所得源泉地国の税制に従う。
居住地国と所得源泉地国の課税対象範囲、適用税率、納税方法の確認を行う。
③重要なのはPEがあるか?
PEがあればPEがある国で課税あり。PEなければ課税なし。
*PEの有無での課税関係の違い。
X国に工場がある⇒X国にPEがある。工場で製造販売された利益はX国で課税される。
X国に輸出している⇒X国にはPEも代理人もない。居住地国での課税のみ。
④X国での適用税率は?
⑤納税方法は?(源泉徴収・確定申告・賦課課税)

(5)所得源泉地国の適用税率
所得源泉地国で課税適用範囲に含まれる場合の税率
(所得源泉地国での税法に基づく税率)
*各国の税法についての概括的な知識が必要:JETRO等にパンフレットがある。
*米国の場合:国税は連邦税、地方税は州税
*国によって税制が異なることに留意する。
*所得源泉地国と日本との租税条約や交換公文による調整があるか確認。

(6)所得源泉地国の納税方法
源泉徴収
確定申告による納付
源泉徴収された上で確定申告で調整(精算)
賦課決定による納付

(7)二重課税の排除方法
租税条約により国家間で定められている。
租税条約なければ二重課税の排除は出来ない(例外として租税協定などで排除する場合がある)。
排除の方法は、居住地国での「外国税額控除」または居住地国での「国外所得免除方式」。
いずれにしても、居住地国の税法と居住地国・所得源泉地国間の租税条約による。
日本においては、原則として「外国税額控除」による。
租税条約を適用し恩典を受ける場合には、恩典を受ける国の租税手続に従う。
(日本の場合、申告書別表や明細書の添付など)。

(8)租税条約の役割
(目的)
国際的課税権の調整
二重課税の排除
脱税及び租税回避行為への対応
投資・経済交流の促進
(日本の場合、65カ国・地域と締結)
(役割)
居住地国の振分・・・A国「設立準拠法基準」、X国「管理支配地基準」
双方の国で全世界所得に課税権が及ぶこととなる。
租税条約で一方の国に居住地国を振り分ける。
所得源泉地国の置き換え・・・使用料の源泉地国:使用地主義(使用される場所)
ソフトウェアのような無形固定資産の使用地は定めにくい。
そこで、「債務者主義」(使用料の支払者の居住地国で課税)を採用。
日韓租税条約では、使用料の課税権を使用料の支払者の居住地国としている。
恒久的施設(PE)の範囲・・・建設業の現場などは、日本の税法は1年超の現場はPE。
租税条約上、短縮されることがある。(多いケースとして6ヶ月超をPEとする)。
日中租税協定・・・6ヶ月超のコンサルティング業務はPEとなる。
所得源泉地の適用税率・・・所得源泉地国の税率 > 居住地国の税率⇒「低い方に調整」
利子などの源泉税に適用する場合が多い・・・日本20%、香港0%
日本の子会社が香港の親会社に貸付金利子を支払う場合、租税条約により税率を制限
10%とする。
逆に香港子会社から日本の親会社への支払利子は0%(所得源泉地国の税率)。
適用税率は租税条約が優先される。

 

国際税務の基礎(その2)に続く

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